恋して、チェリー
「……手に追えねぇ」
深いため息でさえ、あたしにはすごく魅力的に映る。
「意外に根性見せてくれるじゃん?」
面白いモノを見るような目であたしを見るアキ先輩。
こんなあたしの奮闘記は、まだまだ始まったばかり。
◇ * ◇
「……んっ…」
やっとひとつに繋がれたふたつの唇は、すぐに離れてしまって。
待ち焦がれたキスがなんだか物足りなく感じてしまったあたしは。
「ちょ……っと、積極的過ぎ」
恭一くんの首に腕を巻きつけ、少し角度を変えた唇を押し当てた。
まるで――恋愛映画のヒロインになったような気分。
「ん…ふ……っ」
首の後ろへ回った手に引き寄せられて。
元々ゼロに等しかった距離がさらに狭まる。
今までの恭一くんからは、想像も出来ないような熱いキスで。
体中の体温がフツフツと沸騰するような熱さを感じながら、あたしはキスに酔いしれた。
「……ふへへ」
頬を机にべったりと貼り付け、抑えきれない笑みをこぼす。
「……も、すごく、好き」
唇を指でなぞるあたしを、好奇な視線がさ迷う。
「これは」
「完全に出来ちゃってるね」