恋して、チェリー


あたしはそれを、勝手に“yes”と受け止め。



「……好きっ」

小爆発を起こしたキモチのまま、彼のほっぺにキスをし



「また来るねっ!」

あたしは、風のようにその場所を去った。



帰り際のキス、この方法が最大限に生かせるのは


“すぐ様彼の前からいなくなること”

それは、キスの余韻に浸ってもらう為にある。


男の子って建て前で生きてるモノだから、“人から自分がどう映っているのか”を気にするもの。



それが、ひとりになった瞬間ふと我に返ってたりするんだ。



そぉっと、そーっと。

壁の影から、ちょこんと顔だけ出してみる。


白いシャツの背中が、青空をバックに映えている。

柔らかい風が、ふわりと黒髪を持ち上げて。




その時見えてしまったんだ、

彼の耳が微かに赤く染まっていたこと。



あたしの目に映った光景。


左の頬を押さえたその姿は、今までで1番、彼を愛しいものに見せてくれた。

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