恋して、チェリー


【From:キナ】

自分からチューとか


---END---


この、1分後。



【From:比奈】

ありえないから♪


---END---




「………」

なんちゅー連携プレー。




そう、さっきのあたしたちの議題は。




「恭一くんっ!」

「早ぇな」

教室へ早足で向かうと、サラサラな黒髪を風に散らす彼。



“付き合って一ヶ月も経つ彼が、ギューもチューもしてくれない”コト。



「なんかいい匂いする」

「……変態か」

クンクンと鼻を鳴らして近付くと避けることはしないものの

冷たい言葉でグサリ。


第2ボタンまで開かれたシャツから覗く綺麗な鎖骨に白い肌。


キュンキュンと甘く高鳴る鼓動をグッと押し込む。



そんな未だキスもしてくれない彼に、自分から迫ってみると考えた私。




「帰るぞ」

「あ……っ、う…うん!」


しおらしく、儚く。

自分の存在を出来るだけ、消す、と。


勝手にそう解釈したあたしは、彼の斜め後ろをキープし


つかず離れずの距離を維持し続けた。


< 5 / 202 >

この作品をシェア

pagetop