恋して、チェリー
【From:キナ】
自分からチューとか
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この、1分後。
【From:比奈】
ありえないから♪
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「………」
なんちゅー連携プレー。
そう、さっきのあたしたちの議題は。
「恭一くんっ!」
「早ぇな」
教室へ早足で向かうと、サラサラな黒髪を風に散らす彼。
“付き合って一ヶ月も経つ彼が、ギューもチューもしてくれない”コト。
「なんかいい匂いする」
「……変態か」
クンクンと鼻を鳴らして近付くと避けることはしないものの
冷たい言葉でグサリ。
第2ボタンまで開かれたシャツから覗く綺麗な鎖骨に白い肌。
キュンキュンと甘く高鳴る鼓動をグッと押し込む。
そんな未だキスもしてくれない彼に、自分から迫ってみると考えた私。
「帰るぞ」
「あ……っ、う…うん!」
しおらしく、儚く。
自分の存在を出来るだけ、消す、と。
勝手にそう解釈したあたしは、彼の斜め後ろをキープし
つかず離れずの距離を維持し続けた。