恋して、チェリー


「恭くん好き~」
「ココも抱っこ!」

リビングのソファーでは、恭一くんの争奪戦が始まっていた。


って、“恭くん”か。

いいなぁ……今まではくん付けだったし、何かその呼び方うらやましい。


妹に軽く嫉妬しつつ、お皿にスープを盛り付けた。


今日の夕ご飯は、チャーハンにスープ、杏仁豆腐。


いつもはママが作るけど、帰りが遅い日は――あたしとハルで作ってる。



「恭一くんも食べてって」


「恭くんナナの隣ね!」
「やだっ!ココの隣~」

妹たちに相当気に入られた王子サマは、ふたりの真ん中に座った。



「こんな兄弟いたんだな」

目を細めて、笑う彼にドキリと胸が高鳴った。


「そう見えなかった?」

「……や、なんとなく分かるかも」

クスッと笑いをもらす。


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