恋して、チェリー
しばらく視界に映らない私を気にしてか、恭一くんが振り返る。
「何してんの?」
――視界から消えてるけど?
キレイな唇が、曲線を描く。
「今日は、しおらしくいようと思って!」
「なにそれ」
少し開かれた唇、フッと目を細める様はきっと男の子もドキッとするはず。
「恭一くん!男の子にそそのかされても、付いてかないで!」
「……はぁ?」
こんな風に喋っているけど、恭一くんはひとつ上。
知らない男の子へと嫉妬と、少しだけ膨れ上がったキモチ。
「手、繋いじゃおっ」
今日1番の重要なワードが抜けたあたしはタタッと駆け寄ると、その細長い指に自分の指を絡めた。
私と恭一くんの出会いは、2ヶ月程前のこと。
「手、……熱…っ」
ひんやりと冷えた手に混じり合うのは、あたしの体温。
「気持ちいい」
こうやって、勝手に上昇してしまう体温を恭一くんがクールダウンさせてくれる。
小さい頃から恋愛体質だった私は好きな人のそばにいるだけで、体質が上昇してしまうクセがある。
――んん?
ってか、これ恋をしている女の子全員に言えることだよね?