恋して、チェリー
「やっぱり行ってみよう」
さくらんぼをプチンともぎ取るとあたしは教室を出た。
って、その前に恭一くん見ていこっと。
「や、やっぱり……」
予想はしてたけど、王子の周りには女の子、オンナノコ、女のコ。
「今日一緒に帰らない?」
「カラオケ行こうよ!」
あたしは1年生だから、敬語を使わなくちゃいけない。
堂々とタメ口で彼に話す先輩たちが羨ましく思えた。
「あ、あの子……」
その中のひとりが、あたしに気付いて目を見開く。
あたしがストーカーから王子の彼女へと昇格したのはすごい噂になった。
自慢じゃないけど、ほとんどが知っている真実。
でも次の瞬間、その先輩は目を細めたんだ。
“なんだ、その程度”
“羨ましいでしょ? 同じクラスのあたし達が”
その目は、これでもかって位に、口程にものを言っていた
まるであたしをバカにしているみたいに。
「恭一く……っ「ねぇ、来週転校生が来るみたいよ?」
悔しくなって、王子の名前を呼ぼうとしたら遮られた。