恋して、チェリー



え……、あたし女の子には興味な……


――ガララッ!

見事にあたしの心の声を遮ったと思えば、外側から窓が少し開かれた。


風に吹かれて入って来た小さな紙きれ。

じゃなかった……名刺くらいのサイズの硬めの紙。



「え、え……何?」

プチパニックに陥ったあたしは、恐る恐るソレを拾い上げる。




────────────

姿は確認させてもらった。

あなたの大事なものを
奪ってあげる。


────────────




紙から窓へと視線を戻す。


気が付けば、その影はなくなっていた。

変わりに残っていたのは……バラの香り。


残り香のそれは、この出来事をあたしの脳に強烈に焼き付けた。




窓があるのは、倉庫の裏側。

フェンスと倉庫の間には人が入れる隙間なんてない。

だとしたら、学校の敷地外からの犯行になる。


フェンスを挟むことになるけど、内側から鍵が開いてれば外から開けないこともない。


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