恋して、チェリー
「何か関係があるんでしょ!」
さっきのあの女、との関係。
「ここにあたしを呼び出したのは」
多分、こいつらだ。
「……」
何も語らない背中が、“yes”と物語っていた。
「さぁな」
少し間をおいたあとの強気発言。
「彼女ぶってるのも、今のうちかもしんねぇぜ?」
……な、なによ。
何の確証があってそんなことを言っているのか。
ってか、“ぶってる”訳じゃなく正真正銘、あたしは王子の彼女なの!
そう叫ぼうと息を吸い込んだ時だった。
「お前らまだ気が済まねぇみたいだな?」
前方から、怒りを含んだ低い声が飛んできた。
大好きな黒髪が風で持ち上げられる。
少し長い前髪の隙間から、鋭く光るショコラ色の瞳。
王子の瞳は、人を黙らせる魔力でもあるのかも。
「人のモンに何回手出せば気が済む訳?」
近付く度に、殺気を感じる。