恋して、チェリー
「見えたよ」
「ふふっ」
ニヤニヤニマニマしてるふたり。
昇降口側は、あたし達の教室から丸見えなんだ。
この笑いからして、さっきの出来事は筒抜けなのだと見て取れる。
「んふっ! 恭一くん好き……」
“人のモン”=彼女。
んふふ……っ。
んふふふふふ……っ。
机の上に突っ伏して堪えきれない笑みをこぼし続けた。
王子のことを想っている女の子たちにも多少は見えてたハズ。
少しは嫌がらせに効果が出るかもなんて呑気に考えてた。
「で? 何があったの?」
――あ、そだ。
まだ話してないんだった。
解決には至らず、まだ未解決のままだけど。
どうやらイタズラではなく……、“本物の”挑戦状らしい。
あたし宛てに。