恋して、チェリー
……え、?
この部屋にいるのが、転校生?
ということは――女の子?
今、学校中で盛り上がっている転校生。
それを1番乗りで知れたこと。
再びあたしは女探偵に成り変わりドアにピタリと耳を引っ付けた。
「クラスに案内しましょう」
ガタン、と椅子が音を鳴らす。
校長先生が立ち上がったんだ!
なぁんだ、もうちょっとお話聞きたかったのに。
ドアから耳を離すことを忘れたあたしは、そんなことをぼんやりと思ってたんだ。
「いいです! 自分で行けます」
気が付けば、いきなりドアが開いて――あたしは後ろへと飛ばされた。
「痛ったぁ……」
耳を押さえて、お尻に走る痛みに耐える。
「え? ――あ、」
目の前、あたしに気付いた噂の転校生は呆気にとられた声を出してる。
きっとドアのすぐそばに人がいるなんて……予想してなかったんだろう。
「大丈夫?」
あたしに怪我を負わせた張本人がしゃがみこんで手を差し出す。