恋して、チェリー


あ、意外に優しい子――。


クラスは3組っていってたけど、何年生だろ?


顔を上げる前に上履きの色をチェック。


1年生の色だ。



差し出された手をしっかり握って立ち上がろうと引っ張られた瞬間だった。


その子とあたしがほんの少し近づいた時。


“あの香り”が鼻を掠めたんだ。




そのままグイッと力強く腕を引っ張られ、あたしは立ち上がれた。



「――…、あ……」

目を見開いて、目の前の女の子をマジマジと見つめる。

肩まである、指通りの良さそうな髪の毛。

黒くて吸い込まれそうな、強気な瞳。


ナチュラルなメイクに、白くて細長い足。


な、に……?

このカンジ――――。


この子、何かあたしに似てない?



「あたし、小宮胡桃っていうの」

――よろしくね!


男は度胸、女は愛嬌って昔から聞くけど。


目の前で微笑む、胡桃って子は、このふたつを併せ持っている気がした。


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