恋して、チェリー
あたしと同じ強気なオーラ、負けず嫌いな性格。
外見に加え中身まで。
どことなくあたしに似ているって勝手に思ってしまう。
「彼は返してもらうね」
大きな目をくりくりさせて、似合わないセリフを吐いたんだ。
「本当はちぇりちゃんと同じクラスが良かったのになぁ」
なぜか、突き飛ばしたあたしにクラス案内を頼んできて。
さっき校長室から聞こえてきた1組って、あたしのクラスだったんだ。
「コレ、送って来たの……アナタでしょ?」
「あはっ、アタリ」
“あなたの大事なもの”
それは、……恭一くん以外ありえない。
でも、分からないのは胡桃ちゃんと王子の関係。
薄々気が付いてたけど――…
認めたく、ない。
けど、認めなくちゃいけない。
つまらない意地を捨てなきゃいけない時がきた。
「ちぇりちゃんって、勘、いいでしょ?」
全てを見透かすような瞳をあたしに向けて、淡いピンク色の唇の端をニイッと上げた。