恋して、チェリー

‐‐‐‐‐恋、焦がれて



授業の合間の休み時間が、いつもより騒がしい。



「――ねぇ、ちぇり。どっか行く?」

「教室にいたら息詰まるよ」


王子の彼女のあたしに似ている女の子が転校してきた話は、瞬く間に学校中に広まっていった。



他の学年の生徒たちが、あたしの教室と、

胡桃ちゃんがいる3組に集中して集まって来ている。




「胡桃ちゃんの方が可愛くない?」

先輩のわざとらしいひがみが、嫌に聞こえてくる。


いつもは言い返すとこだけど。


今日はいつにも増して、相手側が多すぎてそれも出来なかった。



コソコソと聞こえる嫌みに、あたしをバカにしたような下品な笑い声。


まだ1日も経っていないのに、精神的に追いつめられていった。




「大丈夫! どこに逃げたって、きっと見つかっちゃうから」

「ちぇり……」

いつも一緒にいてくれる比奈にまで、こんな顔させて。


教室の外にたまったヤジウマに、イライラが募ってく。



もう……っ!
こっちが黙ってるからって、言いように言っちゃって!


ガツンと言ってやろうと、席を立とうとした時。





――…ガタンッ!


ずっと黙っていたキナが、ついにキレた。


< 84 / 202 >

この作品をシェア

pagetop