恋して、チェリー
‐‐‐‐‐恋、焦がれて
授業の合間の休み時間が、いつもより騒がしい。
「――ねぇ、ちぇり。どっか行く?」
「教室にいたら息詰まるよ」
王子の彼女のあたしに似ている女の子が転校してきた話は、瞬く間に学校中に広まっていった。
他の学年の生徒たちが、あたしの教室と、
胡桃ちゃんがいる3組に集中して集まって来ている。
「胡桃ちゃんの方が可愛くない?」
先輩のわざとらしいひがみが、嫌に聞こえてくる。
いつもは言い返すとこだけど。
今日はいつにも増して、相手側が多すぎてそれも出来なかった。
コソコソと聞こえる嫌みに、あたしをバカにしたような下品な笑い声。
まだ1日も経っていないのに、精神的に追いつめられていった。
「大丈夫! どこに逃げたって、きっと見つかっちゃうから」
「ちぇり……」
いつも一緒にいてくれる比奈にまで、こんな顔させて。
教室の外にたまったヤジウマに、イライラが募ってく。
もう……っ!
こっちが黙ってるからって、言いように言っちゃって!
ガツンと言ってやろうと、席を立とうとした時。
――…ガタンッ!
ずっと黙っていたキナが、ついにキレた。