恋して、チェリー
「グッと減ったね~」
「う~ん……、すごかった」
次の時間の休み時間には、もうほとんどヤジウマはいなくなっていた。
――…と、いうのも。
――『あんた達! 見られてるこっちの身にもなってみな!』
そう言ってキレたキナが、ドアがぶち壊れるんじゃないかって位。
……バターン!と乱暴に閉めてしまったのだ。
「キナちゃんやる~」
同じクラスの女の子たちの声。
「咲坂もあんま気にすんなよ!」
男の子たちの声が、深く心に響いた。
クラスの皆っていいなぁ。
キナと比奈だけじゃなく、あたしにも“仲間”がいたこと。
今になって気が付いたよ。
「あの話は広まってないの?」
比奈がコソッとあたしの耳に、口を近付けた。
「そうみたい」
「これもひとつの作戦みたいね」
と、キナ。
“胡桃ちゃんが王子の初カノ”
という話は、今のところ広がっていない。