恋して、チェリー
「なんでお前は、フッてばっかなんだよ」
――選びたい放題じゃん?
オレには、理解出来ねぇ。
つい先週、3年で1番キレイって言われてる先輩にも呼び出されたってのに。
コイツの考えてることがまったく分からねぇ。
「その気持ちに応えられないって分かってるから」
オレだって、両想いって憧れる。
恋焦がれる衝動とか、――相手を“本気”で好きになる、とか。
そんな気持ちが、分からない。
そう言った言葉に、オレが思ってた以上にコイツは恋愛に関して考えてるってことが分かった。
コイツが、本気で誰かを好きになる?
恋い焦がれる衝動?
好きな気持ちが暴走して、我を失うコイツ、とか。
まだ一緒にいて、半年だけど。
それを想像することは……難しかった。
誰の告白も受け入れないお前を、誰よりも近くで、なにより隣で見てきたから。
でも、ひとつだけ分かる。
本気で好きになった誰かを、純粋に愛して誰よりも大切にする。
コイツはオレと違って、それが出来るヤツだって、
これだけは分かってたんだ。
だからこそ、受ける傷の深さは誰よりも深いってことも。