恋して、チェリー


コイツが全力で愛するヤツは、どんな女なんだろうか。

その想いが純粋過ぎて、アイツはあの女の裏の顔に気付くことが出来なかったんだ。



「お前、乙女座だっけ?」

「そうだけど」

「今日は、運命的な出会いがあります。だってさ」

たまたま見てた、12星座ランキングの結果をケータイごしに見せてやった。



「ふ~ん……」

――コイツ、興味なさそうに装いやがって。

絶対心の中では少なからず、期待してるはず。



“運命の出会い”とやらをね。


不覚にも、本当にこの放課後それを思わせる出会いを引き寄せてしまうんだ。


こん時、こんなアテにもならねぇランキングを口走ってなければ。


未来は変わってたかもしれない。


なんて、ガラにもない台詞をそっと内にしまった




「アキくん、また遊ぼ~よ」
「え~! 今日はあたし!」


寄ってくる女も、アイツとオレとじゃ格段に違ってた。

ブリブリと男に媚びるような、猫なで声のバカそうな女。

吐き気がする程、甘ったるい香水の匂い。


それに比べ、アイツに想いを寄せる女はおとなしめで、見るからに純粋そうな子が多い。



――チッ。

なんだよ、この差は。


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