恋して、チェリー
世の中不公平じゃね?
オレだって白肌で髪が柔らかくていい匂いのする女に告られたいっての。
周りを見渡せば、そんなカケラもないギャルばかり。
妙に腹が立って、今日はいつもより早く“放課後のおしゃべり会”を切り上げた。
「はいはい、また今度ね~」
軽くあしらいつつ、甘すぎる香りに慣れた鼻に新鮮な空気を取り入れようと足早に靴箱へと向かう。
「――あ、」
なんてバットなタイミング。
俺が今1番会いたくないヤツ――靴箱には先客、恭一がいた。
「アキも今帰りなの?」
あーあー、そうですとも。
世の中の不公平さに嫌気が差して誰かさんにオレのプライドをズタズタにされて。
こっちは早く帰りたいってのに。
……なんでちょうどいんだよ。
「……あぁ、告白、か」
そうだった、放課後に2人入ってるってすっかり忘れてたわ。
「どっか寄ってく?」
男のオレでさえ不覚にもドキッとするような微笑を浮かべながら、恭一はオレを誘った。