恋して、チェリー
「早く、こっち……っ」
反射でコイツの背中を追った。
裏路地に入り、ひとりの女の子の手を取って走り始めたんだ。
それが、胡桃とコイツの出会い。
そのまま3人で、公園を目指してひたすら走った。
「待、って……!」
女の扱いに慣れていない恭一は、胡桃のペースを無視して、がむしゃらに走った為に。
息が上がった胡桃は、途中で立ち止まってしまった。
そこは、不器用だな。
「――ああ、ごめん」
「ってか、どうしたんだよ?」
相変わらず、肩で息をしている胡桃の手をしっかり握って、やっと今コイツの状態に気が付いた。
「絡まれてたから」
「は?」
「ケガない?」
「大丈夫……」
ちょうど恭一の背中で視界が遮られてたから分からなかったけど。
この女は、どうやら男に絡まれてたらしかった。
って、コイツオレを無視しやがった。