恋して、チェリー
「……っ!」
街灯が照らして、初めてこの女の容姿に気が付いた。
白い肌に、頬を上気させて。
形のいい薄ピンク色の唇。
気が強そうな、はっきりした二重の大きな瞳。
色素の薄い、指通りが良さそうな髪に細い手足。
数秒、オレはまるで時間が止まったように凝視してしまった。
この女……っ
メチャクチャ可愛いじゃねぇか!
「助けてくれて……ありがとう」
はにかむ笑顔に、微かに顔を赤くさせてる恭一。
制服を見ると、オレらの学校のものじゃない。
こんなチャンスないのに、オレだったら絶対アド聞くのに。
恭一はそれをせずに終わってしまった。
「……ね、見て」
「あの悩ましげな表情」
「もう、たまんない」
先輩たちが教室の外で、恭一にみとれているいつもの光景。
……ただ、いつもと違うのが。
「……はぁ……」
先輩たちが言うとおり、――曇り空を見つめながらため息をついている。
自分に向けられている熱い視線に気が付いてもいない。