恋して、チェリー


でも、いいことにあの子はこの学校じゃない。

もし付き合えたのなら、内緒で付き合うことも難しいけど可能性はゼロじゃない。



「……やるよ」

実は、あの彼女と恭一が別れた後ひっそりとアドを教えてもらってたんだ。


「アキ……」

ああ、そんな目で見るなよ。


コイツがどんな風に女を好きになって、どんな愛し方をするのか。


興味が、あった。



そこからはもう、あっという間だった。


「付き合うことになった」

コイツが胡桃ちゃんと何を話しただとか、どこで会ったとか。


そんなことオレが知るはずもなくて。


最近帰りがいつもより早かったのは、

放課後のおしゃべり会で教室の窓から足早に去っていくコイツを何度か目撃したからだ。



「早くね?」

オレがアドを渡した4日目のことだ。


意外に手、早ぇなコイツ。



「なんだよ、その視線」

じっとりと湿った視線を向けると露骨に嫌な顔をされた。



「どうせ告白されたんだろ」

女の子を魅力してやまない王子サマは、告白“される”運命だ。



欲しい女はアクションを起こさずとも、黙ってりゃ手に入る。


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