【短】君想い
「蒼依ー!聞いてるか?」
『えっ?何?』
「だから!高宮と今日も一緒の電車かなって言ったんだよ!!」
『さぁーどぉだろうねー!!』
照れ臭そうに言う純を見ていたくなくて、目を反らして私が軽く笑って走ると、純は「あ!待てよ!!」とか言って追いかけてくる―…
この朝の数分が大好き。
だって純がちゃんと私に笑ってくれるから―…
高宮って言うのは凛ちゃんの苗字。
いつも電車が一緒だからその時に2人は仲良くなっていった。
私はただ話しながらそんな2人を見てただけ。
…だんだん仲良くなる2人をただ笑って眺めてた。
届きそうな距離だけど、届かないってこんな事を言うんだろうね。
そんな事を考えてると、手を振りながら近づいてくる可愛い影が見えた。
「おはよう!!蒼依ちゃん!藤原君!!」
『あ…凛ちゃんおはよう』
「高宮おはよ!!今日も元気だなー!!!」
純がニカッと笑うと、凛ちゃんも少し頬を赤らめて笑った。
そんな2人を見ると心がまたキュッと締め付けられたように痛んだ。