恋愛模様~桜舞散る~
尚くんのアザをみてから、私たちは一緒に学校に行くようになった。田舎にある学校で、色々な村の生徒を寄せ集めた学校だし、私達の家は少し外れた所にあるから、徒歩で大体1時間はかかる。
待ち合わせをするでも、家に訪ねてきて一緒に行くでもないけれど、何となく一緒になって、一緒に行くようになった。雨の日は一緒に傘をさして。
5月、芝桜の時期。果てしなく続く芝桜の庭が私達を迎えてくれる。いつもは言葉少なめな尚くんが「芝桜きれいだね~」ってとても嬉しそうに私に言う。私も「綺麗だね~」って笑顔で応えた。
その日は、家は父が母を殴って、母が口の中から血を流していたのを止めようとして、私も殴られた日だった。でも尚くんがいてくれたから、笑顔でいられたんだ。