SQUARE

あいつのライター


あの時気付いたら彼はいなかった。

お礼、言えなかったな。
助けてくれてありがとう、て。

もう昼休みなんかとっくに終わってて、6限目が始まろうとしていた。

「やっば!!!千里ちゃん授業サボっちゃったよ~」

杏ちゃんは笑顔で言う。

「えっ…うそ!?
ごめんね!!!ほんまごめんね!!!」

「あははっ
いいよいいよ!全然いいよ!
てわけでもないけど
………千里ちゃんが死ななくて良かった。良かったよ。」



私も、良かった…。良かったよ…。
私死ななくて、ほんま良かった…。



生きてて良かった。



心からそう思えた。

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