SQUARE
「要は世の中たいてい良い顔してれば生きてゆけるんだって。
周りからみたら俺は偽善者じゃろうけど、別に気にもならんし勝手にゆっとけって感じだし。」
いつだったか由宇はこんなことを言っていた。
それをきいた時、背筋にぞくっと冷気が走ったのを今でも覚えている。
でも俺は由宇の生き方は嫌いじゃない。
むしろ感心、尊敬。
酷くずる賢くても、由宇はそこらへんの高校生よりしっかりしてると思う。
―――キーンコーンカーンコーン…
「んだよ、チャイムなったし。」
「ははっ、結局数学受けるんかい。」
「いやだってお前がライター持ってないからだろ。」
「まだ言ってんの、はい残念。」