私の旦那様
《ﾁｭﾝﾁｭﾝ……》

｢おはようございます…ｴﾘｻﾞお嬢様｣

｢……おはよ｣
寝ぼけ眼で、私は挨拶すると木崎を見つめた。

｢…大丈夫でしょうか？｣
心配そうに、眉毛を寄せて顔を覗き込むように見つめる。

｢うん…｣
いつものように、制服に袖を通した後、
髪の毛をとかしてくれる木崎に私は言った。

｢木崎…昨日は、ごめんなさい。私は、この現実を受け止めることに決めましたわ｣
｢…本当に宜しいんでしょうか？今まで、どんな相手の方々でも振り切っていましたのに…私は、お嬢様の幸せを一番に考えております。好きな人と結婚したい気持ちも、よく理解してるつもりですが…｣

｢いいのよ、木崎｣
ニッコリと微笑むと、木崎も安心したような表情に戻った。

｢ｴﾘｻﾞお嬢様が、良いと思うのでしたら…私は何も言いません｣

｢今は、ﾛﾍﾞﾙﾄ様のこと…好きでもないし、お父様のことで怒りはいっぱいです…でも、私は現実を受け止めることを決めましたの｣

｢お嬢様…｣
髪をとかしていた櫛を止めて呟くと、私は木崎の手にソッと触れた。

｢あの人を好きになれるように努力します…私は、此処のお屋敷の娘ですから｣


そう言った後、私達は目を見合わせてｸｽｸｽと笑った…。

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