雨の降る街
私達が選んだのは、悲恋ものの洋画。
運命に翻弄され、離ればなれになり、それぞれ違う道を選びながらも、相手を想い続けるという内容。
別れた後、彼を想い続けるかはわからないけれど、これからの私を暗示しているようで、自嘲した。
上映が終わり、映画館を出る。12時すぎている。
雨はシトシトと降り続く。
「何か食べよう。ご希望は?」
彼は紳士ぶって聞く。
「そうね、あなたが何でも良いなら…近くにランチが美味しいお店があるの。」
と、提案してみる。
「いいよ、行こう。君のオススメなら、きっと何でも美味しいだろうから。」
「…それって私が食いしん坊みたいじゃない?」
「…違う?」
彼は膨れっ面の私の顔を覗き込んで、フッと笑う。
「違うわ!グルメなの。舌が肥えてるだけよ。」
軽口を言い合いながら、店へ行き、食事を済ませた。