クリヴァル
「好きでこんな姿になったんじゃない、アンタ達なら分かるだろ?エナジードレインさ」


オニキス…いやジェイドが話しはじめた。4人の死神はただただその話を聞くばかりである。


「俺は鉱山にトレディア目当てで深夜に忍びこんでた」


ぽつぽつとジェイドが語り始める。


「その頃はトレディアなんて名前で呼ばれていなかったし、俺は魔石の持つ力を誤解していたんだ‥‥触れることで死神の力が薄れていくのを感じていたから‥‥

てっきり石が吸いとってくれているものだと思っていた」


カロンは何か思い当たったようだった。


「『トレディア』‥‥?まさか薄れたという力は……」


「弟に…、オニキスに送られていた。あいつの五感は鋭くなり、目に見えて運動能力が増していった」


「まさか、そんなことが…!」


誰もが、こんな力無くなってしまえばと、…死神であれば誰もが考えること。

人を傷つけず生きてこれた死神などいない。

魔鉱石の未知なる可能性は無限大…知識では知っていたが、死神たちの予測を上まわる代物のようだ。


「トレディア…貴方の力が弱まり、代わりに弟が死神の力に目覚めた…力の入れ替えがおきたから『トレディア』と名付けた?」


カロンが言うと、少年は小さく頷いた。


「そのことに気づいた時、オニキスは喜んだんだ‥‥」


ふっと少年が笑う。


「とりあえずお前ら席につけよ、長くなるって言ってんだろ」


「………」


死神たちは『仲間』の前に口をつぐみ、少年の話に耳を傾けた。

< 20 / 54 >

この作品をシェア

pagetop