クリヴァル
「こんなひ弱な弟子を持った覚えはないぞ」
「…頭がいてぇ…」
慣れた腕に安心したのか、ストークが力を抜いて体重を預ける。
怪力のボルグに遠慮は無いらしい。
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翡翠兄弟の家まで戻り、金の髪の青年をベッドに横たえた。
苦しげに息をつくストークにカロンが顔を近づけて、かすかな声を聞き取る。
一通り伝え終わると、ストークが深い息をついて瞳を閉じた。
カチャリ
「どうだった?」
カロンが寝室から戻ってくると、一様に視線が集まった。一番に尋ねるのはボルグ。
「……難しい、ことになってます」
カロンが珍しく眉根にしわを寄せて言った。
「…弟は?」
・
「弟さんは、中にいるそうですよ」
その問いかけにはカロンはハッキリと答えた。
・
「ただ…ただの中じゃないんです…」
「ハッキリ言いなさいよん、中って?瓦礫をどけた先に空間があるってこと?」
瓦礫をどける作業を想像したカノーが嫌そうな声をだした。
「違います、あの鉱山に入ったとき何か違和感を感じませんでしたか?我々は鉱山の入り口をくぐったときから、トレディアの魔力に囚われていた…。予想外にトレディアの力は大きいものなんですよ」
カロンがジェイドに向き直った。
「弟さんは確かにあの鉱山の中に居ます。ただトレディアと弟さんの張った…結界のようなものの中に。魔力の根源を破壊しなければ、この伝染病騒ぎも収まらないでしょう」
「カロちゃんの魔力で結界を破っちゃえば?」
「…だから難しいと」
「…じゃあどうすんのよ」