クリヴァル

「ジェイドはミアと一緒に外で待っててもらう。死神であろうと、その姿では戦力外だから」


ジェイドは一瞬何か言いかけたが、わずかな沈黙の後、うなづいた。


「…もちろん何かあればミアを守ってほしい、頼むよ」


ストークの言葉に、今度は深く頷いた。

ボルグも青年の案に異論はないわけでは無かったが、従わざる得ない何かを感じ取っていた。

『仕事着』を身に付けたストークに、カノ―とカロンは元々逆らえない。

長く大公さまに仕え、場数を踏んでいるストークに意見が言えるのはボルグだけであった。

そのボルグが口をつぐんだことで、2人も沈黙を守る。


「…すぐに発とう。俺はミアと話しがあるから、先に鉱山の入り口で待ってて」


いつもの青年と比べると実に素っ気ない言い方をした。

どこか荒ぶる感情を抑えた、平静を装った物言いにも見えた。

ボルグは、…いやカノ―もカロンも、どこか小さな胸騒ぎをこのときから感じていたのは確かだ。

ただその胸騒ぎが意味することに気付けないまま、この時、口を挟むことができなかったのである。

彼らの心を占めて居たのは、予想以上に強力な敵を相手との戦略戦術。

いつもと違う青年も、疲れのせい…時がたてば元通りになるであろうという程度ものであったのかもしれない。



わずかなタイムラグの後、6人は鉱山前に集結する。


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