クリヴァル
「…うふ、心配せずとも――――!」
カロンがかざしたロッドを、両手で刀のように振り下ろした。
全身の青い光は青い炎となり、大気がまるで激しい河の流れのように動くのが見えた。
ギィンッ…
弦が切れる様な鈍い音がした。
「『穴』が空いた!!」
ストークが叫びと同時にボルグが動く。
ボルグがダッシュしカロンを脇に抱え入り口へ飛び込む。
ポイっとロッドをミアに投げてよこし、カノ―が「あとはよろしく」とミアの肩を叩いてボルグに続いて飛び込んだ。
『穴』を閉じようとする強固な結界を数秒ストークの風が支えた。
「ミア…行ってくる!」
ミアはロッドも両手に持ち直し、青年とよく似た金の髪を揺らし、コクリと頷いた。