クリヴァル
「……魔力が濃くなってきた、兄貴、そろそろ中心に着くよ」


「先ほどの言葉忘れるな、足を引っ張ればすぐに離脱してもらう」


ボルグが背中で答える。

素っ気ない言い方だったが、本気で言っているのではない。青年にもそれが分かっていた。


「……タイリースの港区にさ、」


「…?」


青年の呟きに巨体が歩みを止める。


「うまい酒を出す店があるんだ。…終わったら行こうな、兄貴」


「ふ、大して飲めもせんくせに」


カシャンと冑を被り直して、ストークがボルグに続いた。


(もう少しで、中心に着く。カロンとカノ―は無事だろうか。ミアは?…入って何時間たった?)


集中を切らすわけにはいかない、暗闇が適度は緊張感を与えてくれる。

今の自分にこの環境は逆にありがたい。

全て終わらせて、戻る。

日常へ、、、この国も、あの女の子も、みんな、、、平穏な日常へ。




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