クリヴァル
12(まだ読んじゃダメ)
空色のはずの青年の瞳が――黒い。
黒死病の末期症状―。
「――…なぜ言わなかった」
「ごめんな、兄貴、でも、務めは果たすから」
か弱く微笑む。
「なっ、ストークさんを置いて行くなんて!嫌です、僕は残ります!」
動揺を隠せず声を張り上げるカロンに、ストークは背中で答えた。
「…もう、立ってるのも辛いんだ」
「それならば尚更…!ストークさん一緒に帰りましょう…!!」
なんとか青年と目を合わせようと青年に駆け寄る。
「カロちゃんッ!!」
カノーの怒声と同時に、カロンの前に炎が走った。
「…カノー、頼む」
炎に足を止めたカロンを、カノーがひょいと脇に抱きかかえた。
「……行くわよ、カロちゃん」
「やだっ、ストークさんっいやだあっ」
ボロボロとその身体に似つかない大粒の涙をながし、ジタバタと暴れる。
カノーの腕は揺るがない。
「さ…っき、さっき、約束したばっかりなのにっ…!」
「急げ、空間がすでに崩れかかっている!
「ストークさんっ―――」
悲鳴にも近い、叫びは途中で途切れた。
カノーとカロンの姿は暗い空間の「穴」にかき消えた。
最後尾のボルグが続く。