クリヴァル
「…大公様は、そのようなことはおっしゃらない。感染者の排除はあくまで最終手段、それも上に立つ者としての英知あるご判断だ!」
「……ん~。慣れないコねぇ、悪かったわ。興奮しないの」
長い付き合い、気心は皆知れていた。
どんな時も、どんな相手にも、冷徹になりきれない優しい青年は弟のように愛しかった。
…だが万人に対しての優しさなど要らない、少なくとも自分たち『死神』にとっては。
(…ストークちゃん傷つくのはアンタなのよ。早く気付きなさい…)
しばらくの沈黙の後、巨体が口を開いた。
「ストーク、我々は殺人をしにきたのではない。被害をこれ以上拡大させない為だ…そしてその仕事は我々が適任だったということだ」
「……適任」
その言葉が意味することは常人には理解できないものだったが、青年は言葉を反芻[はんすう]するように目を閉じた。
「…さぁ現状を教えてくれ。薬学に一番通じているお前の意見を聞きたい」
―――かくして、個性の激しい3人組と、彼らに言わせれば『問題児』の青年は久しぶりの再会を果たした。