運命の糸

【真実の糸ー５】




「出やがったな…
占いババア…」







皆は視線を上に上げ、
会長の姿を
目に写していた。







その隣には
あの黒川と呼ばれていた
秘書もヒッソリと居た。







しばし、
両者の睨み合いが続く
そこに礼子が割り込んだ







「ねえねえ！

もともと
仲間じゃないって
どゆこと？どゆこと？」






相変わらず
空気を読んでないが、
この質問は誰もが
聞きたいところだ。






すると、
隣に居た朋樹は
礼子に耳打ちをした。







「…藤堂永斗……

もしかして彼は
あの会長の息子
なんじゃないかな？

フジグループの
会長の名前…

さっき
小屋で見た新聞には
藤堂峰子って
書かれてたんだ…」






あの小さな子供が
居た小屋の記事を
朋樹は思い出していた。







すると
やっと永斗は
口を開いた。







「そうや。ご名答や★

ワイはあそこにおる
会長の一人息子や。

残念ながらスパイさせて
もろたで」







クスクスと笑いながら
そう言う。







こいつ…ぬけぬけと…！







螢は
殴り飛ばしてやろうと
力を込めるが、

それを
祐平に止められていた。







「……理由を
話してください。

アンタ達がこうまでして
俺達を拉致した理由を…」







祐平は丁寧な口調で
相手に説明を求めた