運命の糸

【真実の糸ー６】



「クローンだよ…」





朋樹はポツリと呟く。





今度は会長に向かって
言葉を投げかけた。





「クローンでしょ？
アナタ達の会社は
表向きは医薬品などの
大規模な購買に
身を潜めてるけど、
実は影でコッソリと
クローン研究を
していたんでしょ？！」





その言葉を聞き、
秘書は「ほう…」と
メガネを整えた。





会長はそれに合わせて
手で拍手をし始めた。





「ご名答ね。

さすが
あの小屋の情報から
ここまで
辿り着くなんて
賞賛に値するわ」





「見てたのか…
うちらの行動を
監視カメラで…」





朋樹はそう言うと、
永斗はチッチッチと
指を振る。




「なめたらアカンで。

あの会長は
そんなもん見んでも
全て分かっとるわ。
あの能力でな」




まさか…

そんな事まで
分かるのか…？




疑いの目を
永斗に向けると
先ほどみんなに配った
ジュースを片手に
話し始めた。




「もうあんさん達が
みんなここに集まるのは
会長から聞いてたで♪

だから睡眠薬入りの
ジュースを渡して、
まとめて拘束したろ思て★」




今ここに居る
それさえも
占いで当てられたのだ。




なんと卑怯じみた能力…




これじゃ
何も手出しができない。




だが、
白井に止められたのは
計算外。




会長の占いは
細かくは
未来は見えないので、

だいたいの予知で
『六人全員
この部屋に揃う』
くらいの未来を
事前に永斗に
伝えていたのだ。




よって
睡眠薬入りジュースを
阻止されたのは、
ちょっとした検討違い。




「こわ！！裏切り者ぉ！

この泥棒猫！！」




礼子は永斗に
食いかかりながらも
睡眠薬入りジュースを
ゴクゴク飲んでる。





変化がない。


何でこの子は
平気なんだろ…