運命の糸
【真実の糸ー31】




「何やここ!!
おい!!黒川!!

何してんねんお前!!」






大声を上げる元気は
あっても、
怪我により体を動かす
元気はなかった永斗。






離れゆく黒川に
怒鳴りちらしている。






「坊ちゃん゛…

それ゛は…ゴフ………

それは普段
地上に物を運び上げる
輸送装置です…


普通は
人間を乗せない゛の
でずが…

緊急事態なんで
我慢しでもらいます…」






「ならお前も来いや!
まだ入るで!!」






「…言ったでしょう
ぼ、坊ちゃん…

人を運ぶ物じゃないんで
上へ上げる装置は
ここからじゃないと
上げられ゛ないんです…

坊ちゃんだけ、
行ってください゛…」





黒川はそう言うと、
壁にもたれ、
ズズズっと
体を崩してしまう。





吐く血の量も
半端じゃない…






「お前?!
まさかあのガスで…?
クローンじゃ…」






すると黒川は
フフフと笑い出す。





「いつ゛……
ゼエゼエ…

私がそんなことを
言いま゛した坊ちゃん…

私は普通の人間…
クローンでは
あ゛りま゛せん゛よ…」






それを知った永斗。

体がざわつくように
毛が逆立った。







「何で……
何でやーーーー!!!!

何であのガスの中
飛び込んだんや!!

答えい!
黒川ぁーーーーーーーー
ーー!!!!!!!!」






それでも
何も答えてくれはせず、
息を切らし
こちらをしばらく
見ている。







すると、
黒川は最後の力を
振り絞り、
輸送装置のスイッチを
グッと押した。






ギョリギョリギョリっと
激しい音を立てる鎖。






永斗は
上まで運ばれてゆく…
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