運命の糸
【紡ぐ糸ー16】



特に
何もあったわけではない







その日の授業が終わると
螢はさっさと帰って
しまった。







意外に何も起きず、
今日1日は
平穏無事に過ごすことが
できた。







そんな中
焦っている祐平と朋樹は
白井を呼び止めた。






「なあ…
もう時間ないぞ。

どうするよ?」







そんな祐平の話に、
白井はキョトンとした
顔をしている。






どうやら明日の話を
忘れてしまったらしい。






しかし、
すぐ事に気付くと

思い出したかのように
声を出した。







「あ~あ~それね。
そういや、
さっき聞いたけど
他にも呼び出された人が
居るみたいだな」







「は?マジで?」






祐平の問いに白井は
コクリと頷いた。








「ああ。

藤堂も呼び出された
ってさ」







それを聞いた祐平は
思わず声をあげる。







「え?!

藤堂って、
この間転校してきた
藤堂永斗
(とうどうえいと)
のこと?」







すると白井は
何度も何度もコクコクと
首を縦に振った。








すると、
すかさず祐平の
突っ込みが入った。







「何でもっと早く
言わないんだよ!」






「いや……ついね…
忘れてた…

タハ!わりい」







お気楽な白井にとったら
誰が呼び出されようと
関係なかった。








そんな
のんきな白井をよそに

祐平と朋樹は深く考える







思いもよらぬ人物。





まさかそこで

藤堂の名が
出てくるとは…
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