運命の糸
【それぞれの夜ー1】



階段はマンションの
屋上まで続いており、

そこから
見事な夕焼けの景色が
映し出されていた。






そんな景色を
ほっぽいて、

祐平はその夕日の上を
見つめていた。







目的は夕焼けじゃない。


空だ。







「……」








ひときわ輝く、
あの小さな星。







祐平のとても大事な
星である。








「ティナ……」







その何とも言えない
悲しいような
愛しいような
深く冷たい目に、

いつまでも星は
照り続けて見えた。






ここでこうして
数時間は過ごすのが、

最近の日課になっている







その星を見ながら
昔を思い出していた。






数々起きたあの出来事。



一生に一度と
ないことだ。






…と思うが
祐平は知らない。





明日の金曜日…


もっと深い出来事が
起こると言うことに…
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