運命の糸
【それぞれの夜ー2】



「千里!」







そう言って
女に抱きついたのは

周りの目も気にしない
芦田朋樹であった。






「ちょっと、朋樹!
人!人!」







そう言うのは
周りの目を気にする
朋樹の彼女である千里だ







今2人は
高級レストラン前に
立っていた。





2人は
ここで待ち合わせをし、

千里を見つけた朋樹が
飛びついて来たのだ。







「んも~
朋樹はいつも
子供なんだから。

私みたいなお姉さんを
見習いなさい」







…また誕生日が
早いからって

すぐお姉さんぶる…






同じ学年なのに、
そんな
大人の振る舞いをする
千里が、

逆に子供っぽくて可愛い







今日も
その千里の誕生日祝いで

この高級レストランを
予約したのだ。







ちょうど
キャンペーン中で、
平日の夜はお試しとして
割り引きされるので

学生の祐平でも
なんとか2人分
支払えるくらいの
店だった。







「ほら行くよチサト」







「チサトじゃないもん
チサだもん!」







2人はじゃれつきながら

店へ入って行った
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