運命の糸
【紡ぐ糸ー3】



ダダダっ!!









滑り込みに
教室へ飛び込んだのは

「稲葉祐平」
(いなばゆうへい)







この朝にもかかわらず

元気のいい男の子だ。








だが、

そんな野球選手も
顔負けの滑り込みにも
関わらず、

出席の名簿には
赤ペケがつけられていた







「稲葉はアウトだ。

また
寝ぼ助シール
貼っとくからな」







このシールは
担任の顔写真入りの
寝坊印のシール。




それを
よく寝坊する人の机に
貼るという
担任が考えたシステム。




いわば嫌がらせ。








そんなシールを
このクラス一番多く
貼られているのが

この祐平なのであった。







祐平は
机に座り、

青空を眺めていた。






この真っ昼間でも、
祐平には
星が見えるらしい。






「待ってろよ……

いつかあの星に
帰るからな…」







祐平は毎晩星を見る為、

このように遅刻して
来るのだ。






そんなことを知らない
担任は

引き続き出席を
取り始める。







「桜井~………
佐々木~………
白井~…………



ん?白井~~

白井はどうした?」






おや?

自分の他にも
まだ遅刻者が??







そう思ってると、
後ろのドアが

ガラッと開いた
< 3 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop