運命の糸

【紡ぐ秋の糸ー５】


「今日は二名欠席か…。

午後に身体検査あるのに
アイツはまた
サボりだな…」






…と担任のヒゲティーは
ブツブツ言う。







あ、
ヒゲティーってのは
担任の
里見先生のあだ名。





髭がボサボサだから、
そのままのあだ名だ。







前まで
里見先生と
トレンドマークの髭を
合わせた
「ヒゲミ」
と言うあだ名も
男子生徒から
呼ばれていたが、

最近は
女子が呼んでいた
「ヒゲティー」のが
主流になってきて
いる


（もちろん皆
本人に対して
直接そう呼べません）







「おはよ。稲葉君
久しぶりだね」






急に後ろから
細い声が聞こえてきた。







「あ、
久しぶりじゃん」







祐平がそう言う先に
最近風邪で学校を
休んでいた男の子が
久しぶりに登校していた







名前は
「芦田朋樹」

（あしだともき）







「風邪は大丈夫かい？
あ、今日
身体検査あるみたいだね」







すると
朋樹はフルフルと横に
顔を振った。







「今日は
午前で帰るんだ～」






「まだ
具合悪いの？」







「いや、仮病さ。
今日は彼女とデート」







朋樹は
身体検査をサボって
彼女に会いに行くのだ。






どうやら
彼女は別の学校で、
その学校は今日休校だと
言う。







「近くに彼女がいて
うらやましいな…」






祐平は、
そうつぶやいた