運命の糸

【脱出の糸ー６】




六人がペアで
森に入り始めた頃、
施設ではあの会長が
何かのデータを見ながら
部下に指示をしていた。







「…なかなか奇抜な
数値ね…

こんな稀少なデータは
初めてだわ」







そこへ静かに
黒川がやってきた。







「会長。
研究途中
申し訳ございません。

ご報告が…」








すると女は
うすら笑いを浮かべた。







「フフ……
分かっているわよ。

あの子達が
抜け出したのね」







黒川は
それを驚きもしない。

「どうしてそれを…」

などと言おうものなら
今すぐ
首を切られてしまう。







そのくらい秘書として
把握してなくては
ならない。







「予想してらしたの
ですね…」







「そのくらい、
力を使わずとも
想像だけでも分かるわ。

寧ろ、そのくらいの
ことが出来ない子達なら
もう不要よ」







冷たく人間を物としか
見てない言い方で
言い放つ女。







同じ人間とは思えない
くらいである。







「では、さっそく
データを取るように
手筈を整えておきます…」








「頼んだわ。黒川」






そう言い、
再び研究データを
見つめ直していた…