運命の糸
【脱出の糸ー7】




ホーホーホー…







フクロウか?
鳥か??


とにかく
なんだか分からないけど
この暗い森から
不気味な鳴き声が
聞こえる。








祐平は
未だビクビクしながら
森の道を螢と共に
歩いていた。







前は富士の樹海の中も
平気で歩いたことが
あるくらいなのに、

自分のことだと
こうも怯えてしまう。







安堵感を得るために、
祐平は上を見上げ
またいつもの星を
眺めていた。







はあ…心休まる…







「おい、
上見ながら
歩くのは危険だ。

ちゃんと前見て歩け」







螢にそう言われるが、
祐平は止めようとしない







これは祐平の癖で、
誰に何を言われようと
意識が夜空の星にいって

何も聞こえなくなって
しまうのである。







ゴチン!








木の枝に当たり、
ようやくハッとする祐平








そんな様子に
螢は呆れかえっている。








「おいおい…
今の自分の状況を
分かっているのか?

ボケッとしてると
命まで落としかねないぞ」








それもその通りだ。






「あ…ゴメン…」







祐平は螢の言葉に
普通に会話を返した。







彼が不良だから
怖いとかいう概念は
もうない。








今はそれより
本格的な犯罪に
巻き込まれて、

螢なんかより
怖い連中を
相手にしているからだ
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