運命の糸
【脱出の糸ー8】




そんなことで、
祐平はつい
ある質問をしてしまった







「ねえ…踝君…

なくした妹って?」







ギロ!!!!








即座に
螢の殺気に
満ちたような目が
祐平を睨みつけるように
思えるくらい

彼の背中からは
それに近いオーラを
放っていた。







ビク!!








螢の顔を見ずとも、
すぐにそれが
タブーの言葉だと
いうのが分かった。








聞かなきゃ良かった!
と思うのは後の祭りで、

肌がピリピリと感じた。









ぎぎぎぎ………








螢はゆっくりと
後ろを向こうとする。







空気が凍てつき、
般若のような
顔をしてるのが、

想像できる。








…しかし、


振り返った螢の顔は…



とても悲しい目に

悲哀のオーラを
醸し出していた。







「事故で亡くした。
それだけだ。

それ以上でも
それ以下でもない」






それだけ言うと、
再び螢は森の奥へと
歩き出した。







………







この人……


不良と呼ばれてるけど、
何か違う……








螢の妹想いな優しさに

祐平は人知れず
気付いていた
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