運命の糸
【脱出の糸ー9】


しばらく歩くと、
急に螢は
その足を止めた。





「…?
ど、どうしたの?」





おかしな様子の螢に対し
祐平は恐る恐る
聞いてみた。






「居やがるな…」




暗い森を見つめ
螢はジッとしている。





「ちょっ…!
踝君までそんな事
言わないでよ!」





幽霊話が怖い祐平は

怖がらせようとする
螢に言葉を返した。




すると…





ガサガサ!!!





森から勢いよく
影が飛び出し、

螢に飛びかかった!




「オルァ!!!」





ドゴ!!!





戦闘体制を整えていた螢は、
瞬時に拳を繰り出した。






ズザザー!!!






吹っ飛んだのは人間。



お化けでも何でもない、
リアルに人間。





奥にウジャウジャと
いるのが見えた。





「うわああああ!!」





焦る祐平だが
螢はそんな彼に
声をかけた。





「オイ、
うろたえるな。

きっとあのババアの
差し金だ。

お前も命がけで
手ぇかせ」






…命がけ…





螢にそう言われ、
祐平はその意味を即座に
理解した。





ここで捕まったら
本当に命の保証などない…





ヘタしたらここで
殺されるかもしれない…





相手の手にする
警棒らしき武器を見て
息を飲んだ。







ここで…



殺されたら……






もう…

アイツに会えない…





ザ………





祐平は螢の前に出て
瞳を見開いた。





「お、オイ…?」





急に「何か」
雰囲気が変わり、
螢は祐平に声をかける。





まるで別人に
なったかのようだ
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