運命の糸
【脱出の糸ー11】




一息ついて、
螢は祐平に声をかけた。







「お前…
なかなかやるな…

気に入ったぜ」







そんな祐平は
倒れる敵を見下ろし、

一言呟いた。







「…こんなとで
グズグズしてる暇はない

行こうか」







もう森など怖くはない。







前に
こんなフクロウが
鳴くような
「騒がしい森」
なんかよりももっと
悪魔がいる恐ろしい森に
入ったことを思い出した







それに比べたら、
こんなとこは
恐怖の微塵も感じない。









「人間のすることなんざ
たかが知れてる。

行くぜ…」







別の人格が宿ったような
言葉を吐く祐平。







コイツもまた
自分みたいに不思議な
体験をした人の内の
一人かと螢は思った。








そうでなければ、
捕まったりはしない。







やはり人それぞれ

誰しもが物語を
持っているのだと
痛感した。







「ああ…
じゃあ行こうか」








2人はそのまま
暗い森を抜けていった…
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