運命の糸

【脱出の糸ー２７】



しばらくすると、
子供を寝かしつけた
朋樹が戻ってきた。






「あ～あんがとねパパ
ネネを寝かしつけて
くれて」







冗談を言う礼子をよそに
朋樹は何かを
手に持ってきた。







「礼子さん……
これ見てよ…」






見ると、
あの会長の…
『フジグループ』の
記事が書かれていた
新聞を、
持ってきていた。







「これがどったの？」







どこにもありそうな
新聞の記事。






特に注目するとこは
なさそうだ。






そんな記事から
朋樹は何かを
見つけたらしい。








「ここんとこ見て。

この下から二行目の
とこ…」







そこには、
フジグループの
会社について
書かれている記事が
載っていた。







主に医薬品など
様々な薬を中心に
経営してるフジグループ


化学分野は特に技術が
発展していて、
細胞のことから何まで
生物工学的な功績も
残している。







そう書かれてる
文面を見て、
朋樹は何かを感じ取った







「あの会長は
自分や礼子さんとかの
データ。

いわば
捕まった六人の細胞から
何かをしようとしてるん
じゃないかって
思うんだ…」







この小屋にいた
子供からも、
注射で細胞を採取して

何か
研究してるようにしか
思えない。







「細胞ねえ…」








礼子はイマイチ
ピンとこない。







「ともかくここを出よう

何か…
凄い陰謀に
巻き込まれてる気が
する…」








そう胸騒ぎを予感させ、
朋樹は屋敷へと
向かう決意を示した