運命の糸
【研究所の糸ー10】



そんな
暗い井戸の
底みたいな目に
気圧されながらも、
鞭を高々と上げた。






「コイツめ!!
何が刑事だ!!!」






すると、
白井は手に力を入れて
鎖を無理やり引っ張った







グググ……







ズゴゴ……

ブチン!!

ジャラジャラ!!!!







このジメジメしてる
環境のせいか、
鎖は壁から剥ぎ取られ

そのまま
落ちてくる鎖と石の塊を
勢いよくソイツに向かい
振り下ろした。







「ヒッ!!」








グシャ!!







…………








……生き物が
潰れた時のような
特有の音が
白井の耳に聞こえた。







辺りに血の匂いが
立ち込める。







「あ………が………」







さっきまで
鞭を振っていたソイツは

石をマトモに肩へ
落とされ、
床にうごめいていた。







ワザと
肩に
外したわけじゃない…


『たまたま』
外れただけだ。







男はとっさに頭をよけて
肩で受け止めたのだ。







つまり白井は本気で
人を殺そうとしていた。







ギロ……







自由になった白井は
這いつくばる男を
睨みつけた
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