【完】甘いカラダ苦いココロ
「すごいなっ。おめでとう!」
乾杯しよう。とグラスを合わせる。高く響くガラスの音色。
「ありがとう」
その行為がなんとなく大袈裟に感じて照れてしまう。本社研修の話をしたら山内さんが、さっそくお祝いに、と食事に誘ってくれたのだ。
この日は駅の近くにある山内さんオススメの隠れ家のような小さなイタリアンのレストラン。そんなに堅苦しくなくてお酒も料理も楽しめる少人数完全予約制のお店だ。
今日は電車ということで、山内さんもワインを楽しんでいた。
いつもより空気が濃くて距離が近い気がして、少し戸惑う。