【完】甘いカラダ苦いココロ
 
「本当に山内さんって色んなお店を知ってますよね。いつも美味しくて雰囲気も素敵なとこばっかり。ここも、予約とるの難しいって聞きましたよ」

 少しお酒が入って饒舌になってる私に、山内さんはいつものように、ちょっとね、仕事柄コネがあるんだと笑う。

「喜んでくれて嬉しいよ。お祝いだしね、ここはとっておき。特別な日に、大切な人としか来ない店だから」

 大切な人……?
 その言葉になんとなく落ち着かなくなって目を逸らす。
 
「いつもは沙耶ちゃんの為に必死に調べてるんだよ?」

 私の過剰な反応に苦笑いしながら、冗談っぽく笑って言葉を付け足してくれる。


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